noah_8_1「ノアの生涯の六百年目の第二の月の十七日、その日に、巨大な大いなる水の源が、ことごとく張り裂け、天の水門が開かれた。そして、大雨は、四十日四十夜、地の上に降った。」(創世記7章11、12節)

この時、何事が起こったか、聖書から確認したいと思います。まず、「巨大な水の源がことごとく張り裂け」ました。巨大な水の源とは何でしょう?ノアの洪水を語る時に、しばしば、地球全体を覆うほど大量の水は地球に存在しないという反論をする人々がいます。しかし、今でも深い海溝があり、また地下には莫大な量の水(ノアの洪水の後でまた潜り込んだのでしょう)があります。

当時、地殻のさらに下には大量に水(初生水・一度も外へ出ていない水)を溜めた層、あるいは水がめのような窟があったと考えられ、それが、地震、噴火を伴う大地殻変動によって「張り裂け」、地下から水が大量に溢れ出ました。そして、「天の水門が開かれ」、40日間、地上に大雨が降り続きました。上からも下からも水攻めだったわけです。この時、地球は地殻のさらに下まで大きく揺すぶられ、引っ掻き回されて、地殻変動が起こり地震や噴火が盛んに起こったために、地殻のさらに下の水が外に出てきたのです。

noah_8_2今でも、どこかで非常に大きな火山噴火が起こると、その時の噴煙(細かな火山灰)が成層圏まで届き、大気圏に沿って広範囲に亘って地球を覆い太陽の光が届かなくなり、地球の温度が下がるということがあります。ノアの大洪水の時には大噴火が地球のあちこちで同時多発的に起こったでしょうから、地球全体がすっぽりと覆われてしまい、地表はかなり暗くなり、その状態が長く続いたことでしょう。そして、莫大な量の噴煙のせいで地表が冷えて寒くなり、それが長く続いたために「氷河期」と呼ばれる時代を招いたと考えられています。(ある学者は洪水後から冷えはじめ、その影響は恐らく500~1000年間 に及んだと考えています。)

もちろん、地球が冷えただけでは氷河はできません。氷河ができるには、大量の水が必要です。これも、洪水に伴って起きた多数の海底火山の噴火が関係しています。海底火山の噴火は海の温度を上昇させます。多くの海水が蒸発し、それが大気圏へも大きな影響を及ぼし、それが気温や気圧の関係でより冷えた環境の極地方に移動、水分含量の高い湿った雪となって大量に降る、という事態が起きたと考えられます。
こういうわけで、ノアの大洪水は、氷河が形成されるのに必要充分な環境条件をもたらしたのです。

 

***** 附記 *****

 

洪水の始まりについて理解するために、7章11,12節の英語訳を二つ見てみましょう。

NKJV ”all the fountains of the great deep were broken up,”
NIV  “all the springs of the great deep burst forth,”

“fountains”あるいは”springs”は、いずれも深い地下の泉で、それが破裂し地殻のさらに下、奥深くに溜められていた大量の水が一挙に地上に噴き出したのです。

NKJV  ”the windows of heaven were opened.  And the rain was on the earth forty days and forty nights.
NIV  “the floodgates of the heavens were opened.” And rain fell on the earth forty days and forty nights.

「天の窓」「天の洪水の門」が開かれ、大雨が40日40夜降り続けました。

「天の窓」「天の洪水の門」が開かれて、まさしく40日40夜大雨が降り続いたノアの大洪水はどのようなものであったか、私たちには想像を絶する出来事です。この頃、地球上のどこかで洪水が起こると、テレビを通して居ながらにして生々しい映像を見ています。洪水が押し寄せてくる時の水の勢いの凄まじさ、恐怖を、2011年3月11日の東日本大震災の時にまざまざと見せられたと思います。あの凄まじさは、動画であるからこそ疑似体験が出来るのかも知れませんが、あれを見た時に改めて、ノアの洪水のことを思い浮かべました。東日本大震災の時の洪水はまさしく大事件であり、恐ろしい洪水であったことは間違いありません。それでも、地球全体を考えるなら局地的な洪水であり、ノアの大洪水とは比較の対象にさえなりません。

「水はみなぎり、地の上に大いに増し、箱舟は水面を漂った。水は、いよいよ地の上に増し加わり、天の下にあるどの高い山々も、すべておおわれた。水は、その上さらに十五キュビト増し加わったので、山々はおおわれてしまった。こうして地の上を動いていたすべての肉なるものは、鳥も家畜も獣も地に群生するすべてのものも、またすべての人も死に絶えた。いのちの息を吹き込まれたもので、かわいた地の上にいたものはみな死んだ。」(創世記7章18~22節)

noah_8_3ノアの洪水の時は、地球全体が泥水で引っ掻き回されたのですから、地球全体が地殻まで引っ掻き回されたのですから、箱船が翻弄された大波は、実は海水ではなくて大変な泥水だったと思われます。したがって、先に示した洪水の絵に描かれている大波は、汚れていない海の水が多少大きな波になっているだけという表現さえできるかも知れません。
ここに示している絵の方が、その点に関しては多少現実に起こったことに近いかも知れませんが、しかし空が明るすぎるでしょう。実際に起こったであろう様子を描こうとすれば、暗く、訳の分からない混乱を描くことになって、どう努力をしようとも、絵にはならないのかも知れません。

地球は地殻のその下、奥深くまでえぐり取られるように言うならぐちゃぐちゃになり、根こそぎになった樹木、人々が住んでいた家もことごとくズタズタに破壊された残骸、数多くの人や動物の無残に傷ついた死骸、地中から掘り起こされた岩石などなどが、泥と一緒になった大混乱状態で暴れ回り、その土砂と言うよりはるかに凄まじい水のエネルギーに揺り動かされている小さな箱船だけが、光が射さない真っ暗闇の中で翻弄されている姿は、さながら地獄絵でしょう。

noah_8_4そのような悪条件の中で、ノアたちは主に護られて平安を保ち、収容されている数多くの動物たちを静かに過ごさせることが出来ました。そして、アララテ山に漂着した箱船から出たノアたちが目にしたものは、恐らく荒涼とした陸地だったことでしょう。その地に降りたってノアは礼拝を捧げました。そして、そこから新しい世界、新しい人々の生活、新しい動物たちの生活が始まりました。

「ノアは、主のために祭壇を築き、すべてのきよい家畜と、すべてのきよい鳥のうちから幾つかを選び取って、祭壇の上で全焼のいけにえをささげた。主は、そのなだめのかおりをかがれ、主は心の中でこう仰せられた。『わたしは、決して再び人のゆえに、この地をのろうことはすまい。」(創世記8章20, 21節)

地上から、植物が根こそぎ引き抜かれ、滅ぼされたように見えても、箱船が漂着して暫くして偵察に出された鳩がオリーブの若葉をくわえて戻ってきたことから(創8:11)、強い植物から順番に若芽を育んでいたことがわかりました。地球の状態は、ゼロからの出発と言うよりは、マイナスからの厳しい出発でした。植物がその土地に芽を出すと、驚くほど早く動物たちが戻ってきて根を下ろし、生活が始まります。しかし、ノアの洪水の場合は、地球全体がほぼ同じ絶望的な壊滅状態でしたから、局地的に復活の兆しが見えてきても、それが本格的な復活になるとは限りません。ここまで述べてきたように、地上も大気圏も、そして後から付随的に数々の出来事があちこちに勃発したのです。

そして、氷河もノアの洪水の「後遺症」として、どのように出来たかということは先に説明をした通りです。